短歌大会とのめぐりあい
2024年2月下旬。地域の文芸活動について調べていたところ、中尊寺で例年短歌大会が開催されていることを知った。
今回の選者は東直子先生。これは応募しなくては!
応募要項に関して確認しておきたい点があったため、詳細を伺うため中尊寺に電話を…かなり身構えたものの事務局の担当の方が暖かく対応してくださり、初の歌会を中尊寺で飾れることに。わくわく。
応募は近詠一首(自由題)とのことから、何首か詠んでいたうち夫からの印象も参考として提出しました。
平泉へは思い立てばすぐに行ける距離ではあるものの、数年振りの参拝を兼ねてじっくりと旅のムードに浸ることとして…年度末を越えていこう。
(今まで聞いたことがなかった。吉野山の桜のほかに束稲山のような美しい桜の名所があろうとは。)
西行は生涯のうちに二度奥州藤原氏のもとを訪れている。その旅の折、現在の平泉町にある束稲山に広がる桜への思いがけない感動を詠んだ。
連作「燃えるみずうみ」の表題歌。カヌーに世界をすべて乗せたまま、思い出も〈あなた〉も湖上の炎の中に燃え果ててゆくのだろうか。堪えがたい哀惜とそれでもなお未練を断つ覚悟を感じる。
大会当日
迎えた4月26日金曜、月見坂を上って中尊寺へ。門前では八重桜が参拝客を出迎えている。
事前調整の上この日に年休をいただいている。
年度末を経て体調が厳しい状況にあったためここに年休があって命拾いした…この判断は正解だったかもしれない。
まずは本堂の釈迦如来坐像(丈六仏)へ御挨拶です。
丈六仏とは…仏は身長が1丈6尺 (約 4.85m) 、座って8尺 (2.43m) といわれるため、つまり原寸大の仏ということ。如来像はこの大きさで建造するのがひとつの基準とされる。
山内の宝物館である「讃衡蔵」には他に同サイズの1/1阿弥陀如来×1、薬師如来×2があるのでこの近辺には1/1スケール
総本山・比叡山延暦寺にて最澄が灯して以来護持されつづけ、天台宗の主要寺院に分けられているという「不滅の法灯」が坐像の両側で静かに照らす。もしこの管理を任じられたとしたら気が張ってたまらないだろう。
参拝後に当面のおみくじを。
歌詠みをしていると「学業・技芸」の欄をやたら見てしまう。仕事の△を気にした方がいいが…しかし今回は「吉」と◎がふたつで概ね満足したので高望みはせず、結ばずに持ち帰ることとした。△を気にしなさいよ。
浄土の郵便ポストは瑠璃色。この子は売店の飼い猫らしい。
現し世を少し離れて、山内へ
山内に点在する御堂、句碑や歌碑を巡りながら金色堂へ向かう。平日のためほどよい人足でゆったり散策しやすい日だった。体調が厳しかったので薬師堂には御賽銭を少し上乗せです。
金色堂へ
東京国立博物館での特別展を終え、先日還座されたばかりの中央壇の阿弥陀様御一行は疲れの気配を感じさせずに佇んでいる。またとない外部展示の機会に当たって尽力された関係者の皆様にも頭が上がりません。
金色堂諸仏ご還座(げんざ)の作業が無事終了し
— 令和6年金色堂建立900周年【中尊寺公式】 (@Chusonji_Temple) April 24, 2024
今朝8:00に開眼法要を執り行いました
本日からは元どおり33体のお仏様をご参拝いただけます#中尊寺 #金色堂 pic.twitter.com/n1R2yd95Yu
防護ガラスに隔てられた金色堂はパンフレットや報道写真で見かける印象より抑えられた仄かな光に満ちている。一般人は撮影禁止ではあるが、この灯りの加減をそのままに写すのは難しいだろう。
調光の妙も手伝い、柔らかな極楽浄土の輝きが引き出される。
しばしの間ほわーっと眺めます…
今回のもう一つのお目当て、金色堂建立900年記念の御朱印を授受した。細密な切り絵から台紙が透けてえもいわれず美しい。
このほかに通常の御朱印も。
ちなみに中尊寺で御朱印巡りをされる方は金色堂で御朱印帳を授受してから巡るのがおすすめです。1頁目に貫首の揮毫、2~3頁で見開きを使った特別なレイアウトでいただけます。
休憩、そして本番へ
昼食は敷地内食堂の「かんざん亭」で蕎麦をいただく。
こちらは期間限定の地元の葉わさびを使った冷蕎麦、さりげない辛味が清涼感を引き立てている。
デザートに寺の…ティラミス。寺のユーモアですね。自然薯が使われているそう。
狙ったかのように、いや狙っているのがあからさまだが中公新書『浄土思想』をお供に持ってきている。中尊寺の空気をページに吸わせつつ、アイスコーヒーでさっぱりと本番への心積もりを整えます。
さて、いよいよ歌会会場へ…というところでPart.2に続きます。
今後の作歌に存分に活かされるお話を伺えましたので、お楽しみに!