識の檻々

言葉と脳と物語

Un jardin(百合作品 6首)

 

 

 

ふたりの女性をモチーフにした短歌です。

 

 

 

      Un jardin

 

 

 

 

 
 
 
 

相性の欄に載らない恋をしてあの子のためにひろげた雑誌

 
 
 
 
 

首すじに触れたい指を堪えながらおなじ香りの髪だけ梳いた

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

たそがれに密をたずねて喋ふたり融けるとろける時のあとさき

 
 
 
 
 

熱き膚冷たき膚と引きつきてentropieのゆらり満ちくる

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

染色体からは見えない場所だって歩いていける、わたしたちなら

 
 
 
 
 

香水と鍵と住所をペアにしてずっと待ってるおそろいの姓

 
 
 

 

 

 

お読みくださりありがとうございました。

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2023年8月にweb投稿した短歌です。

こちらにはゆるめ~遊んだものをまとめました。

投稿時より一部推敲の上、ルビ配置・仮名遣い等を変更しています。

 

 

 

 
 

 二〇二三年 八月(二)

 
 
 
 

「知ってるよ、ストロンチウムは赤でしょ」と先手を打てば「紅だよ」と

 
 
 
 

あめ玉と甘い唾を飲み込んでふと近づいたくちびるを受ける

 
 
 

話題書の角ゴシックの太さだけ僕らの自我は張り裂けてゆく

 
 
 
 

駅の傍冷えた灯りに足を止め見たこともないジュースを探す

 
 
 
 

エアコンのコンは指揮者コンダクターなれや風を統べるは電子のタクト

 
 
 

トイレットペーパーを提げ帰る日は假寝の先にせめて夢見を

 
 
 
 

猫カフェが人カフェとなる傍らでかまわず眠る三毛の丸い背

 
 
 
 

知った道でもカーナビを点けてゆく「運転お疲れさま」と聞くため

 
 
 

もはや.psd.wavおとも為せずにファイルとは墓碑に刻んだ夢の創痕

 
 
 
 

また遊ぼう、かつてWindowの向こうに青く晴れわたっていた丘で

 

おわりに

8月中頃にネット歌会「うたの日」に参加しはじめました。手ごわさもありつつ、他の参加者の方の感性に接して刺激を受け、多くを学ばせていただいています。

ラフにつぶやいたものや言葉遊び、不真面目なものは好みが分かれるかと少々躊躇う部分もありますが、息抜きも兼ねて楽しんでいます。

お読みくださりありがとうございました。

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2023年8月にweb投稿した短歌です。

こちらには堅めのものをまとめました。

投稿時より一部推敲の上、ルビ配置・仮名遣い等を変更しています。

 

 

 

 
 

 二〇二三年 八月(一)

 
 
 
 

まだ知らぬ書架へ届くかこの一歩わがまなざしの曇りを認む

 
 
 
   二〇二三年七月二四日 Twitterブランド変更

智恵の実の紋を抱けるその手より飛びたつ青き鳩のはかなき

 
 
 

まっさらな0にインクを走らせて君は宇宙の紡ぎ手となる

 
 
 
 

ちりぢりに離るる銀河うすあかく彼と我とのへだたりと見ゆ

 
 
 
 

赫々と散るのだろうかまぼろしか末期を兆す星のすがたは

 
 
 

厳密を期して蓋然性を追い期さないことで賭けにも出たり

 
 
 
 

係長課長、部長と朱を受けてゆうべ鳩舎へ還った稟議

 
 
 
 

刻限は迫り〈急々如律令〉ただ書きつけた付箋を呪符に

 
 
 

掠め合う 二重螺旋の階段へ手をとり昇ることも叶わず

 
 
 
 

桐箱にモルフォの碧はさざめいて欠片となった海の光耀

 
 
 
 

純白に映ゆる誓いよ中庭に凛と立ちたる百合花ふたつ

 
 
 

回線は100kbps余キロあまり 尋ねては月面からの応答を待つ

 
 
 
 

言語野がどちらに在るか知らないがたぶん左だ 血の巡りくる

 
 
 
 

ゆるびなく調べられたるなづきらの正弦波なる斉唱の跡

 
 
 

片富士はもう半身を夢に見て雲に枕す そらの底にて

 
 
 
 

発条ぜんまいをまた巻き締める指もなく儘横たわる霧雨の午后

 
 
 
 

秒針はぽつぽつと降る 蝋燭の立たなくなったショートケーキに

 
 
 

甲子きのえねに天高く衝く声のして今夏も蔦の帳ひらけり

 
 
 
 

瓦礫野を踏みしだき征くくろがねの裡に地層の涙は満ちる

 
 
 
 

朱き陽のなお夕焼けであるようにただ戦災の鎮まるを乞う

 

おわりに

web公開を始めて間もない時期のもののため少し気恥ずかしいところですが、今後の振り返りの材料とするためまとめました。

スマホブラウザからの閲覧を優先して1スクロール3首ずつ縦書きのレイアウトとしてみました。以降、自作分の短詩形式のまとめ記事はこのような形式でupしていく予定です。

表示の崩れ等、お気づきの点がございましたらコメントからお知らせください。

お読みくださりありがとうございました。

ごあいさつ

こんばんは、お初にお目にかかります。

他所でお世話になっている皆様は改めてよろしくお願いします。

眞木たまき(まきたまき)と申します。

 

2023年前半頃から旧Twitterで気まぐれにTL上の話題に言及したり、短歌をぽろぽろ詠み散らしたりなどしております。


このところ何ともなしに連続postが増え、ある程度のボリュームを確保しながらまとめたい/語りたい事柄が出てきていましたので、長くなりそうな場合に備えてこの場をお借りすることにしました。


現在の関心事をタイトルに詰めたらやけに堅くなってしまいましたが、拙作のまとめを置いたり、普段気に掛かったこと、個人的で取り留めのない考えごと等について不定期でライトに記していけたらと思います。

何卒お付き合いいただけましたら幸いです。

 

注意事項

本blogでは認知科学、心理、芸術等に関する話題を取り上げることも予定していますが、私は修士以上の学位を有する専門家ではありません。

正統なエビデンスとしての一次情報をお伝えできる身ではありませんが、可能な限り確実なソースを参照した上で扱っていきます。

あくまで、いち市民の雑談のレベルとしてお受け止めください。

 

以上、取り急ぎのごあいさつとさせていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。