識の檻々

言葉と脳と物語

tanka_202309_02

 

 

2023年9月にweb投稿した短歌です。

前編(tanka_202309_01)と併せてお読みください。こちらには口語のものを中心にまとめています。

投稿時より一部推敲の上表記等を変更したものを含みます。

 

 

 

 
 

 二〇二三年 九月(二)

 
 
 
 

君だってそわそわしてるお互いに絡む視線がまた迷ってる

RIUM 初句「君だって」
 
 
 

君だって世界のいちぶバッテリを補充されつつ埋め込まれてる

RIUM 初句「君だって」
 
 
 
 
 

丁重なもてなしとして送る手はすでに祈りを孕むかたちで

コトバディア「予感」
 
 
 

やさしさの補集合とは数時間なめらかに在るための優しさ

うたの日「薬」
 
 
 

そうやって君に見据えられていたい素数かどうか確かめる眼で

うたの日「見」
 
 
 
 
 

あの子より短くしたらダメらしいシーブリーズのシャボンが包む

コトバディア「制服」
 
 
 

その日まで一緒にめくる単語帳残り時間をかぞえるように

うたの日「語」
 
 
 

壊れかたさえも知らないぼくたちは互いの肌に痕をのこして

うたの日「壊」
 
 
 
 
 

失くなった予定に代えてせめてものケーキとともにいつもの路線

RIUM 初句「失くなった」
 
 
 

ひとつずつ任を解かれて保冷剤またの夏までふにゃりとねむる

うたの日「保」
 
 
 

パクチーはいいや)そこまで知るきみにあたし検定2級をあげる

うたの日「自由詠」
 
 
 
 
 

オフィスビル其は方舟か泥舟か預言者めいて組織再編

うたの日「舟」
 
 
 

しばらくは話さずにおくこんな夜は制動距離もつかみきれずに

うたの日「制」
 
 
 

目を閉じて時をかけるよ真四角の月は怪異を連れてくるから

コトバディア「月」
 
 
 
 
 

はなびらで傷を塞げば偶像に近づいてゆくアリスの競演

コトバディア「傷」
 
 
 

琴線をつまびくようにさりげなく深部に触れる君はずるいね

コトバディア「触れる」
 
 
 

甘やかなひとときでした間引かれるために蒔かれていたとも知らず

うたの日「間」
 
 
 

おわりに

詠んだものはメモアプリに打ち込んでざっくり整理していましたが、blog用に仕分けするにあたってスプレッドシートでの管理を始めました。投稿時期や題などが一覧できて便利ですね。

毎日少なくとも一題ずつ取り組むことで次第に慣れてきましたが、肝心の自由作品はなかなかまとまらず今後しばらくの課題です。

お読みくださりありがとうございました。