こんばんは。眞木です。
あなたは〈言葉〉が好きですか? 私は今ちょっと怪しいです。
初めに言葉ありき
この頃、言葉なり言語についてなんとも言い切れない内心が煮え返してきている。
言葉が好きとか信頼するとかしないとか、特段意識することでもないかもしれないけど、とりあえず聖書にも謳われているあたりからいかに人間がそれを絶対視してきたかがわかる。
1:1 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。
1:2 この言は、初めに神と共にあった。
1:3 万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。
1:4 言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。
1:5 光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。
個人的に、言葉はそのような輝かしい存在というよりは、常に無謬と清潔を強いてくる鬱陶しいものであった。それも神性のうちともいえるかもしれないが
「言語化能力」と呼ばれるもの
ここ5年程だろうか、「言語化能力」なる力をもてはやす雰囲気があるようだ。雑感として、たいてい「解像度」という語を伴って説かれているような。 それ以前は「文章力」などもう少し淡白に呼ばれていた覚えがある。
この文をみると、「言語化」は金がかからないし、特殊技能もいらない。 今日日風の「コスパがいい」といえる成功方法といえるだろう。
この骨法は物価高になり、実質賃金が下がり続けている日本人にとっても 余計なお金がかからない点において魅力的であるといえる。
もしかすると、「言語化」の浸透は衰退途上国にある日本の現況をあらわしているのかもしれない。
も一ついえば、「だが、今は、望めば誰もが、より自由に発言できる時代になっている。」
とあるようにやはりSNS全盛期であることも一因であろう。
上記引用元では、出版物のトレンドをたどり、「言語化能力」というスキルがとりわけビジネス系・医療系の2分野において重用されるようになった旨を指摘している。
力が欲しいか?
私的な話に戻るが、「言語化能力」についてはそこそこ因縁含みの付き合いをしてきた。
作文の賞も弁論大会の代表もずっと、あらかじめ決まっていたかのように内申点の高そうなアイツが独占していた。
後期入試の論文対策などは放課後に半泣きで添削を受ける始末で
とある作品に浸ってからは熱意が心許なさに勝ってファンコミュニティに二次創作小説を投げ込むなどしていた時期があったが、「文才無いですね」とのコメントをきっかけに遠ざかってしまった
URLも思い出せないし、すでにないかもしれない。探しに行くつもりもない。このまま何ら関わりのなかったものとしてwebの大海に沈んでいてもらおう。この一連の記憶もぜんぶ嘘だったということで、だめですか。
今に至っても頭痛を堪えながら報告書なり稟議書を社内に放流しつつ過ごしている。
とりあえず、文章を捻り出すことは公私問わずレスポンスに身構えながら気力体力を削り続ける苦行でしかないのが現状であった。
力が欲しいなら…
先述の引用元と併せて、「言語化能力」を讃えるムーブに対する違和感も挙がっている。
巷間いわれている「言語化」は経営学者・野中郁次郎の「形式知」とにている。
そして、野中は「暗黙知」を「言語化」しようという考えだったのである。
「形式知」と「暗黙知」との比較が忘れられた結果、この二つの緊張感が失われてしまったために 今のような「言語化」だけが目立つようになったのではないかとも考えられる。
そのため「言語化」賛美がやまないでいるのかもしれない。
何かを殴り書くべきだ。これはもう、「言語化能力」なんてかっこいい言葉を流行らせた嘘つきが悪い。世に溢れる「言語化」コンテンツは、全部いっぱい考えた成果に過ぎない。最初から言語化なんかできない。能力の問題じゃない。特殊技能みたいに言いやがって。とにかく書き殴れ。… pic.twitter.com/bCcQdFS0m3
— 九月の『読む』ラジオ (@kugatsu_readio) October 2, 2023
得意な人が得意なことで得意になってそれを能力として喧伝する、いつもながらの流れが生じているのかもしれない。「特殊技能みたいに言いやがって」って、本当に。
文章の産生に何らかの苦痛が伴う方はぜひ上記postの末尾まで読んでみてください。励まされるかと思います
書かなければ書けない
しばらくの間まとまった私的な文章を書く機会がなかったからか、これでいいのかと…語りたいことがあると宣言しながら細切れで出てくるばかりで。
日頃使わない脳部位は滑らかに動作しないと俗に言われるが、Twitter(X)での短いパラグラフをつなげる話法に慣れてしまった身には沁みるものがある。どうなんだろう。
言語化能力を「鍛える」とか敢えて言いたくはないけど、何かに強いられてではなくて自分の意向によって、出力をある程度の分量にまとめることで〈言葉〉と和解しながら手に馴染ませていけたらいいな。
以上、心に留まった発信に後押しされてつい書きなぐった乱文でした。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。